シンガポールが9月より入国制限を緩和 感染リスクの低い国より順次旅行者を受け入れ

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シンガポール政府は、9月より新型コロナウイルスの感染リスクが低い国・地域から順次入国制限を緩和していくことを発表。まずはブルネイとニュージーランドの2か国を対象とするとしています。

チャンギ空港
チャンギ空港

対象国・地域からの旅行者には14日間の隔離措置(Stay-Home Notice: SHN)を免除し、到着時にPCR検査で陰性が証明されればそのまま入国を認めるとのこと。これで、いよいよ一般的な観光客がシンガポールへ行くことも現実的となりました。

Updates to border measures for low-risk countries from 1 Sep | gov.sg



入国を希望する旅行者は渡航の7日~30日前にAir Travel Pass(ATP)の申請が必要。ATPの詳細については来週中に交通省が発表するとしています。

またこれ以外に、オーストラリア(ビクトリア州を除く)、台湾、中国本土、マカオ、ベトナム、マレーシアからの旅行者については隔離期間をこれまでの14日間から7日間に短縮することもあわせて明らかにしています。

今回の緩和策は、これまで議論されてきた相互的な「トラブルバブル」とは異なり、あくまでシンガポール側単独の判断による決定というのが大きな違いですね。

肝心の、日本からの旅行者はいつから対象になるのかが気になりますが、日本は6月17日に一旦「感染リスクの低い国」に選ばれたものの、その後、第2波によって新規感染者が増えたことで7月20日に「格下げ」となり、それまでの自宅やホテルなどではなく政府指定のSHN施設で14日間滞在しなければならないというのが現状です。

今回、ブルネイとニュージーランドを対象としたことについて、オン・イェ・コング交通大臣は、

・人口10万人当たりの感染者が0.1人未満
・直行便があり尚且つ運航本数が限定的

という点を挙げています。感染者数については日本の人口は約1億2千万人なので、100人程度であれば条件を満たすことになります。一方、運航本数については、現在、ブルネイからシンガポールへは週2便(最大500人)、ニュージーランドからは週4便(最大1,200人)。週数便~1日1便程度であれば十分にコントロールできるというところでしょうか。

Reopening S’pore’s borders to NZ and Brunei travellers a small step to reviving Changi Airport: Ong Ye Kung – The Straits Times

同大臣は、隔離期間無しに旅行者を受け入れることで多少は感染者が生じることは認めつつも、国・地域を限定し、さらに入国時の検査を必須とすることで、リスクは最小限に抑えられるとも語っています。

シンガポールが方針を転換したことで他のアジアの国々もすぐにこの流れに続くかはわかりませんが、これが大きな転換点になる気はします。どの国においても、感染者ゼロを永遠に続けていくことが不可能なのは自明なので、今後は各国の政府がリスクをある程度許容した上で、いかに合理的な判断ができるかにかかっているのではと思います。