六ヶ所再処理工場の審査を進めないことを求める要望書
六ヶ所再処理工場の適合性審査について、更田委員長は記者会見の場で、「落ち着いた環境下で議論を見ていただく必要もある」としながら、「(感染症対策の長期化を理由に)いつまでも後送りするのも、正しくはない」「審査書案を委員会での俎上に上げて議論を始めるということは5月中に始めたい」と述べ、早ければ5月13日にも審査書案を提示する構えでいます。
これまでの六ヶ所再処理工場の審査においては、変動地形学者による施設直下の六ヶ所断層及び大陸棚外縁断層の知見について考慮されていない、基準地震動の策定に用いられる経験式のばらつきが考慮されていない、十和田カルデラや八甲田カルデラによる巨大噴火のリスクが無視されている、火山灰の厚みを55センチに引き上げる一方で密度を小さく見積もり、結果的に過小評価としているなどの問題が残されています。高レベル廃液貯槽でプルトニウムが臨界量以上含まれ、臨界事故を起こすおそれがある問題も指摘されています。
六ヶ所再処理工場が稼働すれば、海にも大気にも大量の放射能が日常的に放出されます。福島第一原発で大量のトリチウムを含む汚染水の海洋放出の方針に対し、地元の漁業者や市民が猛反発していますが、再処理工場からはそれを上回るトリチウムが放出されることになります。
新型コロナウイルス感染症拡大の事態に際して、原子力規制委員会は、緊急時に対応する各班を二つに分けて、お互いに接触しないようにするなど、感染が規制委・規制庁に及んだ場合でも緊急時の対応体制を維持することを最優先課題としています。また、東京から各サイトに出向いたときは2週間待機するなど、感染防止に努めるとしています。その一方で、頻度を落としながら、テレビ会議による審査会合を、傍聴者を入れずに開き、公開原則を無視し再処理工場の本格稼働のための審査を強行しています。六ヶ所再処理工場の稼働や原発の再稼働のための審査を継続しています。
感染収束の見通しのない状況で、原子力規制委員会は、そのすべての能力を、感染拡大防止と現状の原子力施設の安全管理のために使うべきです。日本原燃の計画を優先し,正常でない形で六ヶ所再処理工場新規制基準適合性の審査を進めてはなりません。
上記問題点の審査を慎重に行うまでは,5月13日の委員会も含め、合格書にあたる「審査書案」を審議しないよう強く求めます。