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夜明けは近い――新時代のオランダ代表の今。アヤックスの躍進と共に輝きを取り戻す

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柴崎岳とコパ・アメリカに出場する代表選手2

ネーションズリーグ準決勝でオランダがイングランドを延長戦の末、3-1で破り、ポルトガルと初代王者を争うことになった。

勝負の分かれ目は1-1で迎えた83分、リンガードのゴールがVARの判定で取り消されたことではないだろうか。肉眼ではオンサイドにしか思えない、本当に際どいシーンだった。オランダにとっては前線からのプレッシングが連動せず、間延びしてしまったところをイングランドに完全に崩されてしまったということだ。オランダは命拾いした。

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それでも、120分を通じてみれば、オランダの方が勝利にふさわしいチームだったとも言える。オランダのシュートは実に28本。一方、イングランドは15本。ポゼッションサッカーとダイレクトサッカーを巧みに使いこなす、オランダの攻撃の多彩さが光った試合だった。2016年ユーロ、2018年ワールドカップを逃したオランダの夜明けは近い。

■大国の誇りを取り戻す 

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2014年ワールドカップで、オランダ代表を率いたルイ・ファン・ハールが披露したのは「ロッベン・システム」だった。5バックで自陣に引いて守る守備的システムは、ファン・ハール曰く「ロッベンのスピードを最大限に活かすため、意図的にスペースを前線に作った攻撃的システム」だった。

このシステムは当時のオランダにとって最適解だったが、その後のオランダにとっては悩みでもあった。オランダには「ホーラント・スホール(オランダ派)」と呼ばれる確固たる、攻撃的サッカーへのこだわりがある。しかし、ロッベン、ロビン・ファン・ペルシ、ヴェスレイ・スナイデル、ラファエル・ファン・デル・ファールト以降のオランダは、アタッカーの人材不足が顕著だった。それでも、オランダは攻撃サッカーにこだわるのか、それとも、守備に重心を置いたカウンターサッカーに切り替えるのか……。ファン・ハールを継いだフース・ヒディンクは前者を目指して失敗し、後者に切り替えて失敗した。ヒディンク更迭後、コーチのデニー・ブリントが監督に昇格したが、彼もまた、答えを出すこと無く2017年3月末に解雇されてしまった。

この2017年3月というのは、アヤックス復活の始まりだった。このシーズンにアヤックスの監督に就任したペーター・ボス(現レヴァークーゼン)が、チームの中に蔓延していた「ポゼッションのためのポゼッションサッカー」という悪癖を取り除き、縦に早いビルドアップと、ボールを奪われたら5秒以内に回収するプレッシングサッカーを取り入れたのだ。それでいて、アヤックスらしい個のテクニックとアイデアも存分にあった、魅力的なサッカーだった。コペンハーゲン、シャルケ、リヨン相手にホームで完勝し、アウェーで負けても際どく次ラウンドへ進み続け、ヨーロッパリーグ決勝まで辿り着いたアヤックスのサッカーは、オランダサッカー界にとって大きなヒントとなった。

ロナルド・クーマンがオランダ代表の初采配を執ったのは、2018年3月、イングランドとの親善試合だった。この時点で、クーマンは5-4-1の布陣を採用し、カウンター型のフットボールをしようとしていた。イングランド戦は0-1で負けてしまったが、ポルトガルには3-0で勝った。それでも、クーマンは中盤にしっくりしないものを感じ、新たなアイデアを探っていた。

クーマン監督の悩みは、フレンキー・デ・ヨングという天才MFの出現によって解決された。2018年9月6日、スナイデルの代表引退試合を兼ねたペルー戦の後半に、デ・ヨングは代表デビューを果たし、60分にはメンフィス・デパイのゴールをアシストした。

「フレンキーさえいれば、オランダ代表は列強相手に対しても4-3-3で対抗できる」

そう、クーマンは確信した。

ペルー戦の直後から、ネーションズリーグが始まった。ここから、オランダがサッカー大国の誇りを取り戻していく。中でも2018年11月16日、ロッテルダムのスタディオン・フェイエノールトでフランスを2-0で破った一戦は「パーフェクトゲーム」と言われたほど、オランダがワールドカップ王者を凌駕した試合だった。このフランス戦の先発組が、「ロナルド・クーマン指揮下で最高のラインナップ」と目されており、今回のイングランド戦では同じ11人の名前がスタメン表に並んだ。

■名門アヤックスがヒントに

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この時期、アヤックスとオランダ代表は、似たようなシステムを採用している。それはゼロトップシステムと、ランニングMFをトップ下に置くシステムだ。

アヤックスのエリック・テン・ハーフ監督は2018年10月2日のバイエルン・ミュンヘン戦で、ストライカーにMF兼サイドアタッカーのドゥサン・タディッチをストライカーの位置に置き、最前線でゲームメーク、チャンスメーク、楔役、フィニッシャーを任せた。そして、万能型MFのドニー・ファン・デ・ベークを、どんどん相手ペナルティーエリアの中に走らせペネトレイト(貫通)させるタスクを授けた。以降、アヤックスはCLの舞台でゼロトップシステム、オランダリーグでは本来のストライカー(主にフンテラール)を置くオーソドックスなシステムを使い分けた。

現在、オランダ人の中にスーパーなストライカーがいないという現状もあり、クーマン監督はデパイをストライカーに置くゼロトップシステムを採用し、ジョルジニオ・ワイナルドゥムという、やはり万能型のMFをトップ下に置いて、やはり相手ペナルティーエリア内にペネトレイトさせるタスクを担わせている。

アヤックスは、CBにパサーとして優秀なデイリー・ブリントを置くセミリベロシステムを採用し、デ・ヨングの横にはラセ・ショーネを置き、冒険的なサッカーでCLベスト4に進んだ。一方、オランダ代表はCBにヴィルヒル・ファン・ダイク、マタイス・デ・リフトの2人が相手ストライカーをピッチから消し、デ・ヨングの横にはマルテン・デ・ローンを置いて、バランス重視のサッカーをしている。それでも、ゼロトップ、ランナータイプのトップ下、ポゼッションサッカーとダイレクトサッカーの併用、前線からのハイプレッシングなど、非常に多くの共通点を持っている。

U-17ユーロで2連覇を飾ったU-17オランダ代表は、本来のストライカータイプを最前線に置いたが、先日、メキシコを5-1(!)で破ったU-21オランダ代表はPSVではサイドアタッカーとして貴重なサブ要因となっているドニーエル・マーレンをストライカーの位置に置き、ウインガーのカルヴィン・ステングス(AZ)とユースティン・クライファート(ローマ)と共に機動力あふれる攻撃を展開し、トップ下にやはり万能型(しかし、ランナータイプではない)のダニ・デ・ウィット(アヤックス)を置いて、メキシコを粉砕した。

今、オランダには新たなオランダ派「ホーラント・スホール2.0」が生まれる兆しがある。さらに、オランダらしい規格外のストライカーが表れた暁には、プランAとプランBを自在に使い分ける国になっていくだろう。

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