特集

日本国憲法

日本国憲法は2022年5月3日、施行から75年を迎えました。改憲手続きや、内容を巡る議論を追います。

特集一覧

自民、誤用例の「進化論」で憲法改正訴え ダーウィン模したキャラ漫画

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
自民党が公開した憲法改正をテーマにしたマンガ「教えて!もやウィン」の一場面=自民党ウェブサイトより
自民党が公開した憲法改正をテーマにしたマンガ「教えて!もやウィン」の一場面=自民党ウェブサイトより

 自民党がウェブサイトやツイッターで、ダーウィンの「進化論」と結びつけて憲法改正の必要性を訴える漫画を発信している。ツイッター上では「進化論を理解していない誤用だ」「政治に利用するのはこじつけだ」など、科学者を含む各方面から批判が相次いでいる。【野村房代/統合デジタル取材センター】

「変化できる者が生き残る」米学者の誤用例

 物議を醸しているのは、「教えて!もやウィン」と題する4コマ漫画だ。ダーウィンを模したと思われる「もやウィン」というキャラクターが「進化論ではこういわれておる」として、「最も強い者が生き残るのではなく 最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは 変化できる者である」と説明。その上で「これからの日本をより発展させるために いま憲法改正が必要と考える」と力説する。

 漫画は自民党広報のアカウントが19日夕方に3本続けて投稿した。党のウェブサイトにもコーナーが開設され、続編も掲載されている。

 しかし、引用されたのはダーウィン自身の言葉ではなく、1960年代に米国の経営学者がダーウィンの著書「種の起源」を独自に解釈して論文発表した「誤用例」とされる内容だった。このためツイッター上では「ダーウィンはそんなことひとことも言ってません。撤回してください」「全く無関係の憲法と結びつけるのはこじつけに過ぎません」「変わる必要があるのは自民党では」といった指摘が相次いでいる。

進化論のあてはめ、人種差別など正当化

 また、19~20世紀に広がった「社会ダーウィニズム」は、進化論を人間社会にあてはめることで「優勝劣敗」による自然淘汰を唱え、人種差別や優生思想を正当化する手段にされた経緯がある。精神科医の香山リカさんは投稿で「優生学に基づき、ユダヤ人や障害者を虐殺したのがナチスだ。それ以来、進化論の安易な政治への応用は危険、とみんな知ってる。自民党広報は確信犯なのか無知なのか」と批判した。さらに岩波書店のアカウントは「進化論でよくある勘違いとして、『進化』=『…

この記事は有料記事です。

残り644文字(全文1491文字)

【時系列で見る】

関連記事

あわせて読みたい

この記事の特集・連載

この記事の筆者

アクセスランキング

現在
昨日
SNS

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月