アストラゼネカのコロナワクチン、高齢者にも強い免疫
【ロンドン=佐竹実】英製薬大手アストラゼネカと英オックスフォード大学が開発する新型コロナウイルスのワクチンが、高齢者にも強い免疫反応をもたらすことが分かった。英医学誌ランセットが19日、臨床試験(治験)の途中経過を公表した。新型コロナで死亡するのは高齢者が多く、ワクチンの効果が期待される。
今回ランセットが公表したのは治験の第2相についての論文。より多くの人に投与する最終段階の第3相の結果を確認した上で、アストラゼネカは年内にも当局に申請して早期の実用化を目指す。日本政府は同社から1億2千万回分を調達する契約を結んでいる。
論文によると、5月から8月にかけて行われた治験には18歳以上の560人が参加し、うち70歳以上は240人だった。高齢者も若者と同程度の強い免疫反応が確認され、深刻な副反応などはなかったという。
新型コロナは高齢者や基礎疾患がある人の方が重症化しやすい傾向がある。米疾病対策センター(CDC)によると、米国の死者約20万人のうち、65歳以上は約8割を占めた。各国政府はワクチンが実用化されれば、高齢者などに優先接種する方針だ。
米ファイザーが治験の最終段階で9割を超える予防効果を確認するなど、ワクチンへの期待が高まっている。ただワクチンは万能ではない上、予防効果が数カ月しか続かない可能性も指摘されている。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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