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2050年のメディア

文藝春秋で長くノンフィクションの編集者を務めた下山進氏が「2050年のメディア」を展望します。

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第33回 神は細部にやどる 国家機密漏洩を描く本当の報道映画=下山進

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2003年3月2日 オブザーバー紙は、持ち込まれたメールのプリントアウトを真正とした。NSA(アメリカ国家安全保障局)の「汚いトリック」として、国連加盟国 代表への盗聴疑惑を報道。
2003年3月2日 オブザーバー紙は、持ち込まれたメールのプリントアウトを真正とした。NSA(アメリカ国家安全保障局)の「汚いトリック」として、国連加盟国 代表への盗聴疑惑を報道。

 

 <Susumu Shimoyama “MEDIA IN 2050”>

 映画『オフィシャル・シークレット』を見た。

 実話をもとにしたジャーナリズムの映画でもある。

 2003年イラク戦争の開戦前夜に、英国政府通信本部(GCHQ)へアメリカの国家安全保障局(NSA)から送られてきた1通のメール。それは国連決議を必要としたアメリカのために、各国の代表への盗聴・傍受活動を要請するものだった。

 中国語に関する傍受を担当していたキャサリン・ガンは「戦争を止めるため」にそのメールをプリントアウトし、友人の反戦活動家に預ける。問題のプリントアウトは、「オブザーバー」紙の国内担当デスク、マーチン・ブライトに持ち込まれる。

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